私はこれを機に社会の厳しさを知り、バイトへの見方が変わった。
ごく普通の平日に、私はいつも通りアウトバックへのバイトへと向かった。その頃の私は、バイトの採用をいただいてから1~2ヶ月しか経っておらず、“今から銭稼ぎや!”、“たかがバイトやし”など、バイト自体を軽率視していた。
その日は激混みで、私が持っていたテーブル3つと、カウンターの2席は満席だった。テーブル席に目が行っていた私は、カウンターに座っていたご夫婦へのサービスを怠ってしまった。案の定、会計までも他のスタッフに任せてしまっていて、その後で、私のサービスについて厳しい言葉を頂いたことを会計後に聞いた。私はショックと共に後悔や罪悪感など、色々な感情が込み上げてきた。そして、”もうこのバイトしんどい“と思った。しかし、テーブルを片付けに行こうとすると、コースターの下に一枚の千円札が挟まれていた。私は、”これは誰のものに対してなのか?“、”いやもしくは忘れ物なんじゃないか?“と思っていた。しかし、経験の長い先輩に事情を説明すると、「お前がもらっていいものだと思う。次から頑張れのチップだと思う。」 こう言われた時、私はまだ信じられなかったが、罪悪感を抱きながら渋々とチップを頂いた。
私はこれを機に社会の厳しさを知り、バイトへの見方が変わった。それが人生初めてのチップということもあってか、“満足いくまでこのバイトは辞めたくない”、“リベンジしたい”という思いが強くなった。今でもまだまだ至らない部分はあるが、日に日に成長を感じている。後輩ができ始める時期になってきたので、私は良い先輩になれるよう頑張りたいと思う。