OUTBACKで生まれたちょっといいお話集

ドリンクのオーダーが鳴り止まない状況でした!!

池袋

OUTBACKER | MITSUKIさん
2025 Vol.10 Episode28

 私のその日のポジションはバーテンダーでした。土曜日のディナータイムで、18時以降からお客様が立て続けにご来店され、ドリンクのオーダーが鳴り止まない状況でした。そのため、普段ならカウンターに座るお客様と会話をしながらドリンクを作ることがあるのですが、その日は殺到するオーダーを黙々と捌くのに必死でした。しかし、池袋店のバーはお店のど真ん中で一番目立つところにあるので、どんなに忙しくてもメイク台を綺麗に保ち、1杯ずつ丁寧な所作でドリンクを作ることを自分の中で心掛けていました。また、その日のホールスタッフに新人の子が多くいたこともあり、店内全体が慌ただしい様子でした。新人の子たちは自分のやることで精一杯なので、物の補充が誰もできず、大型のトレーを置く脚や、バー周りのグラスや氷が足りなくなることが何度かありました。しかし私は、バーテンダーとして一連のサービスの最初を担っているので、私がドリンクを作ることを止めて、その場から離れることはできませんでした。そのため、手の空いていそうなスタッフに「○○を持ってきて!」 「○○を今のうちに補充しておいて!」などと指示を出していました。自分でも一瞬手の空いた隙を見つけては、お料理を運んだり、サーバーのサポートに回ったりしていましたが、ドリンクのオーダーは止まらず、正直もう嫌になった瞬間がありました。そうは思いつつも、クオリティは落とさずにスピード感と丁寧な所作を意識していたら、ラストオーダーが終わった時に私に声を掛けてきた男性がいました。
 お話を聞くと、その人はお一人でよく利用してくださるお客様で、バーの周りのカウンター席によく座られるそうです。そのお客様から、「今日はとても混雑していたけれど、スピーディかつ1杯ずつ丁寧に綺麗に作っていて、さらに他の人に指示まで出していて、あなたの動きは素晴らしいと思いながら見ていました。」とお言葉を頂きました。ドリンクのみならず、自分が意識していた所作まで直接褒めていただいて、とても嬉しかったです。私はバーテンダーのポジションや、トレーナーを任されるようになってから2年が経ち、自分のことだけでなく、周りのことを常に見ることも意識していました。そのため、自分の行動を誰かに褒められたことで、意識だけにとどまらず、行動に出せていることを実感し、自分に自信がつきました。忙しい時には周りが見えずに自分のことしかできないことが多いですが、自分の姿はいつも誰かに見られていることを意識して、まごころを込めた所作と、周りの状況をよく見るように心掛けようと、改めて思った瞬間でした。