サーバーもお客様も良い気持ちにさせてあげることができるのが受付なんだと気付きました。
私が受付を担当していて一番忙しかった日の出来事です。その日は団体の宴会予約が多く、19時にはお待ちいただいているお客様が10組以上になっていました。もちろんサーバーは忙しく、19時予約の団体様との入替が間に合わず、外でお客様をお待たせしている状況でした。私は予約の時間までに、ご予約のお客様をご案内することにいっぱいいっぱいで焦っていました。
その日は、ブラジルとフィリピンのお客様が多く、予約表には海外の方の名前ばかりがありました。外の階段までギッシリと並んでいるお客様を見て、私の頭の中は、”早くご案内しないと!”ということだけしか考えていませんでした。そしてやっと19時に、団体でご予約のお客様をご案内することができました。まだ全員が揃っていなかったため、先にいらっしゃった2名様だけお席にご案内しました。まだ揃ってなかったし、”良かった~、”とホッとしていたところ、予約表に同じ名前で2名様のご予約があり、”あれ?”と思ったら、普段は名前が被ることのない海外の方だったため、合っているだろうと思い込み、他の方と間違えてご案内してしまっていました。外のエントランスは、お客様でいっぱいになっていて、店の外に出たり入ったりしていたので、一度お話したお客様の顔と名前が一致していなかったためか、初めてこのようなミスをしてしまいました。ご予約用に確保していた席は3テーブルで、残りは2テーブルしか空いていませんでした。そこに別のお客様を間違えてご案内してしまったので、準備していた席が狭くなってしまうことを謝罪し、「急いで準備します!」と伝えると、そのお客様は、「全然いいよ!忙しいよね!ありがとう!」と言ってくださいました。この日は、待ち時間が長くてなってイライラしているお客様も多かったので、なんて優しいお客様なんだと、感動しました。そして、狭いテーブルになんとか椅子を3つ付け足したので、ギュウギュウの席になってしまいました。ご案内するために入口のドアを開け、お客様ひとりひとりに、「申し訳ありません。」と言いましたが、みんな笑顔で「ありがとう!」と言って入って行かれました。席を見てみると、隣同士の隙間が無いくらい椅子がいっぱいで、こんなテーブルになったのは初めてでした。パーティーだったのでお料理もたくさん並んでいて、私はそれを見て申し訳ないことをしたなと思いました。そして最後はバースデーがあり、歌を歌っていたので、その時にブラジルの方だったと分かりました。ブラジルの方は大らかな方が多く、いつもバースデーは大盛り上がりになるのですが、その狭い席でも盛り上がっているのを見て、優しい素敵なお客様だな、と思いました。その頃はまだ、スタッフによるバースデーソングのサービスを再開する前でしたが、私はその歌に参加しに行って、「おめでとうございます!」と言うと、とても喜んでくれました。
お帰りになる時に、玄関のドアを開けて、「今日は私のミスで席が狭くなってしまい申し訳ございませんでした。」と伝えました。その後で、お祝いの席なのに、ずっと謝ってばかりだったので、それも良くないなと思い、帰る時までに可愛い絵を描いておいたバースデーカードをお渡しして、「本日はありがとうございました。お誕生日おめでとうございます。」と伝えました。するとお客様が1000円札を握っていて、私に「今日はありがとうね。」とチップを渡してくださいました。私は受付を担当していてチップを貰ったことは初めてだったので、「私!?」と言うと、「もちろんだよ!大変だったのにありがとうね!」と言ってくださいました。私が受付を担当していて、一番のミスでしたが、頑張ってどうにかしようとした結果、お客様に喜んでいただけたことがとても嬉しかったです。
受付の仕事は、忙しくなればなるほど、お客様やサーバーの機嫌の変化を感じるので、私はとても苦手でした。しかし、逆に言うと、努力次第で、サーバーもお客様も良い気持ちにさせてあげることができるのが、受付なんだと気付きました。この出来事があってから、私はよりお客様の気持ちになって考えたり、今までだったら妥協していたところを、状況に合わせて交渉するように努力したりするようになりました。これからもその姿勢で、お客様にたくさん喜んでいただけるようになりたいと思いました。