OUTBACKで生まれたちょっといいお話集

この仕事を通して得た経験の中で、今も心に深く残り続けている出来事がある。

名古屋栄

OUTBACKER | YUSUKEさん
2026 Vol.12 Episode9

 アウトバックでアルバイトを始めて4年目になるが、この仕事を通して得た経験の中で、今も心に深く残り続けている出来事がある。
 2、3年前のある日のことだった。その日も、私は普段通りバーカウンターに立ち、汚れたおしぼりを交換し、空いたお皿を下げ、ドリンクが減る前に声をかけるという、ごく当たり前の接客を淡々と行っていた。特別なことは何ひとつしていなかった。ただ、目の前の一人のお客様に、誠実に向き合っていただけだった。
 ところが、その男性のお客様は、私の接客に強い感動を示し、「今までで一番サービスが良かった。」と、思いがけないほどの言葉をかけてくださった。お帰りの際には、握手を求められ、私が差し上げた名刺を大切に持って帰る姿を見て、胸の奥が温かくなる感覚を覚えた。その瞬間は、単なる接客に過ぎない日常が、少しだけ特別な意味を帯びたように、不思議な感じがした。
 その日を境に、その男性は、多い時には連日のように来店してくださることもあった。さらに、会社の節目となる食事会の会場としてもアウトバックを選び、予約のたびに私の出勤日を確認し、必ず私がいる日に訪れてくださった。
 来店されると開口一番、「おう、祐介!元気か!」と明るい声をかけてくださり、仕事の話や、若いころの経験を語ってくださった。また、時折ご友人や会社の方と一緒に来られた際には、「こいつ、祐介。こいつのサービスが一番いいんだ。」と、まるで、自分の知り合いを紹介するかのように、誇らしげに紹介してくださった。その姿は、私にとって、仕事を越えた信頼関係が築かれていることを感じさせる、嬉しい瞬間であった。私もまた、大学生活や就職活動の不安を打ち明け、励ましの言葉を多くいただいた。
 やがて、大学や就活が忙しくなり、しばらくの間出勤ができない時期があった。久々に店に立った日、まず店内を見渡すと、私の知らない新人スタッフが増え、以前感じていた“アットホームな空気"が、どこか薄れていることに気づいた。にぎやかで明るい雰囲気は変わらないものの、どこか別の店のように感じられ、寂しさが胸に残った。
 そんな思いを抱えたまま、バーカウンターに目を向けると、変わらぬ表情で座り、私を待っていてくださる、あの男性のお客様の姿があった。目が合うと、いつもと同じ声で、「おう、祐介!久しぶりだな!」と、明るく声をかけてくださった。その一言に、どれほど救われたか計り知れない。たとえ時間が空いても、変わらず自分を迎えてくれる人がいるという事実は、思いがけないほど大きな支えだった。
 この経験を通して、日々の接客の中で行う何気ない行動が、時に他者の心を動かし、長い時間をかけて、人間関係を育んでいく力を持っていることを知った。小さな気遣いが誰かの記憶に残り、自分自身の人生にも影響を与えることがある。接客という仕事の価値は、単なるサービスの提供にとどまらず、人と人とのつながりを生み出す営みであることを、この出来事は教えてくれた。
 これから先も、この出会いを忘れず、ひとつひとつの行動が、誰かの一日を変え得ることを意識しながら、誠実な接客を続けていきたいと考えている。そしてこの経験は、アウトバックが掲げる“日本一たくさんの感動物語が生まれる会社になる”というビジョンを、私自身の体験として実感させるものでもあった。
 感動は決して“店からお客様へ"という一方通行のものではない。丁寧なサービスを通してお客様の心が動き、そのお客様の存在が今度は私自身を支え、励まし、成長させてくれた。アウトバックは、スタッフが誰かの一日を変える場所であると同時に、スタッフ自身もまた、お客様からの温かい言葉や出会いによって、心を動かされる場所なのだと強く感じた。この相互的な感動こそが、アウトバックという場所の魅力であり、そこで働く意味なのだと思う。だからこそ私は、これからも一つひとつの出会いを大切にし、感動が行き交う空間をつくる一員であり続けたいと考えている。