OUTBACKで生まれたちょっといいお話集

ウエイティングが発生するくらい忙しくなりそうなある日のこと・・・

品川高輪

OUTBACKER | AMIさん
2025 Vol.7 Episode8

 「うわ…、今日も予約多いな…。」ウエイティングが発生するくらい忙しくなりそうなある日のこと。店内はクリスマスソングが流れ、イルミネーションがキラキラ光る中で、私は緊張と同時に、担当するお客様にワクワクしていました。
 そんな時に「お姉さん!私ね、今日お誕生日なんだ!」とグリーティング(ご来店時の挨拶)の時に話しかけてくれたのは、ピンクの貝殻の髪飾りをつけた車椅子の女の子でした。その日はご両親と3人でお祝いしに来てくださいました。私はそんなバースデーガールに「お誕生日おめでとう!プレゼントは何をもらうの?」と聞いてみると「あのね、アリエルの…ドレス。」と彼女は言いました。私は照れながらもキラキラした彼女の姿が本当に可愛らしくて忘れられません。また「プリンセスみたいなご飯がいい!」と、キッズステーキをオーダーしていただきました。「姫、お食事のお味は…?」とツーバイトチェック(ご提供したお料理についてのお伺い)に伺うと「おいしい!」とすぐに反応してくださり、ご両親はこのやり取りを微笑ましく見守ってくださいました。
 ところが、彼女の表情が突然に変わり、遠くを見ていました。私も不思議に思い、目線の先を見てみると、スタッフにお祝いされているお客様の姿がありました。すると彼女から「キラキラ光る電気の席いいなぁ。」という言葉が聞こえました。そこで私は「あちらのボックス席に移動できるか確認致しましょうか?」とご両親に尋ねました。するとお二人の表情は曇り「車椅子だから今からの移動は苦労するな…。」とお答えになりました。確かに店内の状況と、ご両親の意見を尊重すると、席はそのままのほうが良い状況ではありました。ただ引っかかるのは、彼女の誕生日であるという事です。 だからこそ私は、バースデーカードに、彼女の好きなアリエルと彼女の似顔絵を描き、スタッフを集めて自分なりに精いっぱいやれるサプライズをしなくてはと思いました。
 「ハッピーバースデー!」とデザートを持って近寄ると、驚きと照れもあって「わぁ…ありがとう…!」と彼女は、小さい声でしたが、笑顔で言いました。お客様の多い日だったため、バースデーソングもたくさんのお客様に参加していただき、大盛り上がりでした。そして「お姉さん!アリエルだ!ありがとう!」「写真もイルミネーション入るように撮影してくれて良かったね。」とカードやスマホの写真を見ながら、ご家族皆さんに喜んでいただくことが出来ました。
 当時の私には、「本当にこの形で良かったのかな?」と、自信はありませんでした。そこでアリーラリー(アウトバックの朝礼)のお話で、こんな事を思い出しました。「テーブル担当制だからこそ、十人十色のサービスで楽しんでもらうことが出来る。」ということです。方法は人それぞれ違いつつも、共通点は相手に喜んでもらうために尽す心がある、ということです。まさにアウトバックのミッションにある“真心”という言葉そのものだと思います。私は先輩方や同期を見て、比べては反省の日々でしたが、相談すれば共に悩んで、答えを出すお手伝いをしてくださいました。 アウトバックのアルバイトは短い期間ではありましたが、自分なりの“真心”を育てながら、皆さんに支えられて、新たな強みや弱みを見つけることが出来た場所です。
 私は来年から社会人として、ずっと目標にしていた食に関わる仕事をします。お客様との食を通して学んだ“食べることの魅力”や、小さなお子様に体験していただいた“食事”という生きる術の中にある“楽しさ”を近くで見ることが出来た経験は、私にとって大切な通過点だと思います。アウトバックでの物語を引き出しに、学びを生かしながら“真心”を育て続け、食の楽しさを形にしていきたいです。