OUTBACKで生まれたちょっといいお話集

私はそのご夫婦を見た瞬間に、「こういう時だからこそ楽しませた い! 」と、純粋にただそう思いました。

梅田

OUTBACKER | HINATAさん
2024 Vol.10 Episode9

使ったメニューを戻しに受付に行ったときに、たまたまネイティブの英語が聞こえました。顔を上げると、そこに立っていたのは外国人の老夫婦でした。その日は、三連休の最終日ということもあり、営業も一日中ゆったりしたものだったのですが、そのご夫婦はラストオーダー直前にご来店されたので、より一層暇な時間でした。
 私はそのご夫婦を見た瞬間に、「こういう時だからこそ楽しませたい!」と、純粋にただそう思いました。なおかつ私は、アメリカに留学していたので、英語を使ってコミュニケーションを取れるチャンスだとも捉え、お客様を席にご案内する時に、受付担当をしていたマネージャーに咄嗟に、「私のところに入れてもらってもいいですか?」とお願いしました。すると快く了解していただき、私の担当テーブルに案内していただきました。
 早速、そのご夫婦のもとへ行き、私の名前と、今日このテーブルの担当をすることを伝えました。続けて、どこから来たのか尋ねると、カリフォルニアから3週間日本へ旅行に来ているとのことでした。私も4ヶ月アメリカに留学していたことを話すと、とても興味津々に質問をしてくれました。また逆に私も、日本はどうかと問いかけると、2週間は東京へ行き最後の週に大阪へ来て、2日後にはカリフォルニアへ帰るということでした。今回ご来店いただいたアウトバックの梅田店は、ネットで探していた時にたまたま見つけたということ、最終日はユニバーサルスタジオジャパンに行くから楽しみだということ、日本人は本当に優しくて、愛で溢れている国だね、とそのご夫婦から日本での旅行の話もたくさん聞くことができました。
 オーダーを取り、全て提供し終えた後、そのご夫婦は終始お店の雰囲気や、お料理の味を堪能しているように見えました。娘さん息子さんが結婚をして家を出ていき、歳を重ねても仲良さそうで幸せそうなお二人を見て、そして何よりご夫婦で3週間旅行をしていて、とても素敵だなと心がほっこりしました。お食事中も私を呼んでくださり、「他に日本のお勧めはある?」 「日本のお料理はなんでこんなに美味しいの?」など、たくさん話し掛けてくださいました。せっかく日本に来て、そしてアウトバックに来てくださったんだから、私は最後に何か喜ばせたいと思い、北島牧場のジェラートをプレゼントしました。すると、とても喜んでくださり、「ジェラートの前に立って!」と言って、私とジェラートの写真まで
撮ってくださり、すごく幸せに感じた瞬間でした。
 帰られる直前には、「どうして日本はチップ制度がないの?私たちはあなたの優しさに感動したからあげてもいい?」と言ってくださいました。そして最後は「一緒に写真を撮ろう!」と、入り口でお写真も撮ってくださり、私にとっても、アウトバックでのかけがえのない思い出が、また一つ増えました。ご夫婦は、「いつか絶対アメリカで会おうね!」と手を振って帰られました。
 私の英語は決してスムーズでも、ペラペラ話せるわけでもないので、私は頭の中から必死で英語を絞り出して、拙い英語ながらも伝えたいことを、一所懸命に話しました。とにかく楽しませたい、日本旅行を忘れられない思い出の一つになったらいいな、それだけの思いで接客をしました。ご夫婦は私の話を理解しようと、目を見て優しく微笑みながら頷いて聞いてくださる姿に、心から嬉しかったし、テーブルを担当して良かった、アウトバックに入って良かった、と心の底から思えました。その時の状況を思い返せば、私がたまたま受付台のところにいなければ、確実に違う席に座られたと思います。なので、出会えたことが運命だと思いました。言語、文化が違っても、お互いを理解しようとする“優しい”気持ちは、どんな人にも伝えることができるし、楽しんでもらえることができるんだと思います。それがアウトバックの7つの行動指針の一つである“Diversity”です。アウトバックに入って約1年経ちますが、1年前の私には想像もつかなかった出来事です。だからこそ、ご夫婦の旅行の思い出の一つに、アウトバックがあれば嬉しいなと思います。そして私自身は、アウトバックでの思い出の一つとして、そのご夫婦との思い出が追加されました。出会いに感謝をして、これからもアウトバックへ来られる全てのお客様と、一緒に思い出を作りたいです。