なんとなくかっこいいし、来たお客様を案内するだけだから「簡単でしょ〜。」とか思っていました。
アウトバックには、ご来店されたお客様を最初に出迎え、席まで案内する、ホステスという仕事があります。私はアウトバックで働き始めた当初、このホステスという仕事を甘く見ていました。最初は、ひとりだけ黒いシャツ着ていて、なんとなくかっこいいし、来たお客様を案内するだけだから「簡単でしょ〜。」とか思っていました。
アウトバックで働き始めて2ヶ月くらい経ったある日、「そろそろホステスやってみるか?」と、当時の店長の言葉と共に渡されたのは、憧れの黒いシャツでした。
ホステストレーニング1日目。最初は、ホステス業務に慣れるため、暇な日から徐々に慣らし、教えてもらっていました。私の心はまだ“余裕”でした。ホステス業務にも慣れた初めての金曜日。皆様もご存知だと思いますが、飲食店の金曜日はとても賑わいます。少しだけ緊張した心持ちで臨んだことを、今でも覚えています。そして私の“余裕”の言葉はすぐに打ち砕かれました。
その日は予約でいっぱい。そこに予約なしで来たお客様を、いかに席に案内できるかが、私の手にかかっていました。「ここのお客様は後15分くらいで席の時間が終わるから…、もう少しであそこは誕生日のサプライズをやって…、19時からのお客様が後10分ほどで来るから…。」しかし、そんな思い通りにはいかないのです。もうてんやわんや。
当時の店長に、「ここの席、15分後に4名様入れますかね?」など、何を聞いても、「自分でやってみな。」の一点張り。今思えば、自分で考えて行動させてくれていたのだと理解できますが、当時は、「教えてくれたっていいじゃん!」と、心の中で思っていました。その日の営業を終え、ホステスという業務がいかに大変か、お店にとってどんなに重要な存在なのか、ということを思い知らされました。
そこから、一人前になるためホステス業務が続き、2、3ヶ月経った日のことでした。その日は、3フロアある中の2フロアが貸切営業で、いつもよりも席が限られていました。あっという間に席は埋まりましたが、もうあの頃の私ではありません。前から予約してくれているお客様、当日に電話予約してくれたお客様、予約なしで来てくれたお客様。全てのお客様を、時間通りに席にご案内できた時は、何日もかけて作ったパズルの最後のピースがハマったような気持ちでした。
その日をきっかけに、私はホステスという仕事が大好きになり、ホステスという仕事に自信がつきました。それから何年か経ち、教えてもらう立場から、教える立場に変わりました。ある日、あの頃のわたしと同じように、黒いシャツを着てホステスに臨むMちゃんがいました。Mちゃんは仕事の覚えも早く、効率もよかったのですが、なんせ自信がありませんでした。
「ここ、どうしたらいいですか?大丈夫ですかね?」など、当時の私を見ているようでした。しかし、私はあの頃の店長のように、自分で考え行動に移すように教えました。それから私は、Mちゃんの担当トレーナーかのように、Mちゃんがホステスだった日は、毎回終わった後、フィードバックを行っていました。
そこから何年か経ち、私は今、ディナータイムの営業を離れていて、Mちゃんの成長を見られずじまいなのですが、私よりも歴が長いアウトバッカーと、いろんな店舗で働いている同年代の社員さんと、3人で話している時のこと。2人が「Mちゃんのホステスってピカイチだよね」と言いました。それを聞き、Mちゃんが、その2人にそこまで言ってもらえていることが、自分の事のように嬉しくなりました。私の教え方は間違ってなかったんだな、と思ったと同時に、自分で考え行動に移すということの大事さを教えてくれた、当時の店長には感謝の気持ちでいっぱいです。
あの頃大学1年生だったMちゃんも、今ではもう4年生。卒業まであと数ヶ月ですが、そのピカイチのホステスを、後輩にどんどん受け継いでいってほしいです。
