OUTBACKで生まれたちょっといいお話集

その女の子は少し人見知りをしていて、話しかけても恥ずかしそうにしていました。

品川高輪

OUTBACKER | BERRYさん
2025 Vol.9 Episode29

 その日はハロウィンの仮装をして働く日でした。私は初めてのハロウィンに出勤だったのですが、先輩たちから 「ハロウィンは信じられないくらい忙しいよ。」 と言われていたので、とても緊張していました。そんな中、お母さま、お父さま、5歳くらいの女の子のご家族様を担当しました。
 その女の子は少し人見知りをしていて、話しかけても恥ずかしそうにしていました。ランチとディナーの間の時間で少し空いていたため、この後は忙しくてお客様とあまり話せないかもしれないと思い、このご家族様とたくさんお話しをしようと思いました。女の子は、最初は恥ずかしそうにしていて、お母さまを通して会話をしていましたが、だんだんと目を見て直接話してくれるようになりました。最終的には、私がそのテーブルの横を通ると話し掛けてくれるまでになりました。その女の子はご飯を食べた後、何かを集中して描いていました。そして私がその絵を見ようとすると隠していました。何を描いているのか気になりましたが、見られたくなさそうだったので、触れないようにしていました。そして、そのご家族様が帰る準備をしていた時に、最後に女の子に話し掛けに行くと、 「これあげる!」 と、さっきまでずっと隠していた紙をくれました。そこには仮装をした私の絵が描かれていました。お礼を言って出口までお見送りをすると、女の子はとびっきりの笑顔で手を振ってくれました。今でもその絵はロッカーに貼って、出勤前のモチベーションにしています。